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【第4回】未来ラジオと人工鳩のBGM・環境音

公開日:2018/08/26

サウンドディレクター/チーフスクリプターのラリカウパーこと、Muu Doggです。
名刺の肩書は精液です。パワハラなんじゃないかという声が内外から聞こえてきますが、
一作目「キミトユメミシ」では外注、二作目ではアルバイター、
そして本作ではサウンドディレクターで名刺まで作ってもらえるという異常な好待遇なので、
例え精液と呼ばれようがカウパーと呼ばれようが気持ちよさしか感じません。ドМなので。

さて、今回のコラムですが、ちょくちょくTwitterや未来ラジオラジオでこだわりや裏話を語っているので、
その時々に伝えたかったことをまとめてみました。

以下、項目別です。
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1.環境音と効果音
2.オリジナルサウンドトラック全曲解説
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1.環境音と効果音

・効果音に関しては前作では拙いながら100音つくり、今作ではもう100音つくりました。
といっても前作では効果音のリネームは適当、シーンごとにどの音をあてるかは僕の記憶をすべて頼りにするというリスキー極まりない管理。
……お前も服を着ていないラプラシアンの一端か!という声が上がってきそうな作り方をしていたのですが、
未来ラジオの制作に入る直前にうぃんどみるさんの『約束の夏、まほろばの夢』のスクリプトに携わらせていただいて、
ちゃんとした効果音リストがテキストであるわけですよ。
もう即座にノウハウ、パクりましたよね。(うぃんどみるさん本当にありがとうございます)



・環境音に関しては前作から作品全編を通して常に音を鳴らしていたい!という構想はあったのですが、技術と時間が追いつかず断念。
その悔しさをバネに前作マスターアップ直後にハンディレコーダーを個人的に購入し、街に繰り出したわけであります。
本作の夜の描写で聴こえてくる虫の鳴き声なんかは去年の秋に収録、
セミの鳴き声に至っては7月末までせっせと録っていたので、
結果的に丸一年かけて仕上げたことになります。

全てのシーンで2〜4つの環境音が絶えず鳴るようにしてあり、
ソラが衝撃を受けると音をいっぺんに切ったり、
意識が混濁していくときには音を1つずつ切って行くという処理をしているので、
より主観的な描写が可能になったと思います。

2.オリジナルサウンドトラック全曲解説

今作ではBGMが23曲、歌モノが5曲という堂々のボリュームとなっております。
本編購入後にこの解説と合わせて聴いてもらえると楽しめると思います。

●上原一之龍さんのT1「cheese on the toast」とゲーム立ち上げ時に流れるラムシーニさんのT4「New Tone to the Radio」
今作のプロットを読んだ時に最初に実現させたいと思っていたサウンドイメージ。
2人の音楽観の交差するところに今作の日常BGMは成り立っていると言っても過言ではないと思います。
ニューリンでいう「贅沢な日々」「NO TENBRIDGE, NO LIFE」のように、
この作品の輪郭を決定づけた2曲とも言えます。

●T2「Next Village」はラムシーニさん。
事態が好転していくようなワクワク感をジャッジ—に表現してくれたもの。
ラムシーニさんは作曲家としての知名度も伸ばしつつある方ですが、ジャズの即興演奏も素晴らしいんです。

●T3「choose your night」は上原さん。
ジャズのアップテンポでスウィングしているだけじゃない静的な面を、
夕焼けだったり夜のまったりした雰囲気と同化させることに見事に成功しています。

●T5「GIANT DANCE」はラムシーニさんの焦燥感あふれるフリージャズ。
エレピのソロがめちゃくちゃうまい。

●T6「やがて朝陽が」T14「Near My Eyes」は上原さん感動シリーズ。心温まる楽曲を書かせたら上原さんの右に出る者はいないでしょう。
この2曲は、どこまでも優しくて暖かくて泣いたっていいんだよって語り掛けてくれるのだ……そう、最強なのだ……。

●T7「眠れない心」T8「ENDLESS CALL」は上原さんのシリアスシリーズ。
そしてT9「真実の在処」はXelfery(以下ゼルくん)のシリアス曲。
廃墟と化した1タミ、ソラの心の闇と待ち受ける運命。
無機質なデジタルサウンドが人工鳩のように聴く人を追い詰めていく。
ストーリーの核心に迫る部分で突き刺さる3曲。

●T10「地殻・か・ビン・ビン」はゼルくんのコミカル曲で
T11「ヤミツキワルツ」
(本編で使用)はラムシーニ作曲のコミカル曲。2人の特徴が出ていて、ステキ。
それにしても緒乃さん、「地殻・か・ビン・ビン」というタイトルは一体どういう思考回路で思いつくんだろう。

●T12「Nuts dish」T13「こんばんはEverybody」はラジオのテーマ。Muu Dogg作。
この2曲は緒乃さんの初稿1〜4日目を読んで作り始めたのですが、
イシマルには当然ラジオの原体験はほとんどないけど、じいちゃんの影響で変に懐古的なところがあり
「ラジオの音楽と言えばラジオ黎明期の80年代だべ!」
みたいなノリで当時のフュージョンぽい曲をサクッと作ったというイメージです。
ベーシストで打ち込みも出来る男は、こういうリズムの強い楽曲に惹かれる特徴があります。多分。

●T16「Now or Never」エッチシーン(本編で使用)
ラムシーニ氏作、T4と対を為すイメージ。
あえてメロウでアシッドなサウンドを狙うことで官能的な雰囲気になったのでは。
この曲を完成させるためにラムシーニ氏はエッチなことをしてきたらしいです。内緒ですよ、これは。

●T17「Dive To My Lost Memory」(本編で使用) 
ゼル君作。クライマックス感が良い感じにアレしてる。
本編をプレイすると、いやそこで使うんかい!ってなると思います。

●T18「親愛の刻」かぐやの夢とT19「智覚の刻」ソラの夢(本編で使用)はかしこ君。
セッションマンであるかしこくんのポップで感情表現豊かな演奏も今作ではなくてはならない要素。
上原さんのクラシカルなピアノとはまた違う空気感を演出してくれる楽曲。

●T20「やすらぎの丘陵」かぐやのテーマ
上原さんの楽曲。本当に美しい。
体験版の公園のシーンでこれが流れたとき、奇跡のような感動を覚えました。

●T21「Back my way」椿姫のテーマ(本編で使用)
ゼルくんの作曲。チマタで流行りのシティポップだったりvaporwaveだったり…
僕の個人的に好きなジャンルでもあるので、ディレクションが楽しかったですね。
これが意外にも椿姫の頽廃的な大人の雰囲気にマッチしてたり。
いつかこの世界観だけでゲームを作ってみたい…それくらい大好きな曲。

●T22「ツカノマの休息」秋奈のテーマ(本編で使用)
上原さん作。夜勤明け、カフェで秋奈にステキな笑顔で接客されたら、多分脳内でこういう曲が流れるに違いない。

●T23「★てぃんくるもんすたー★」水雪のテーマ(本編で使用)
Muu Dogg作。
水雪の跳ね回るような可愛さを表現するうえで、安直にキラキラした曲でもよかったのだけど、
ちょっとひねって海外のクラブミュージックにありそうなKawaii Futurebassみたいのをやってみたかったんです。
許されるならこれと春乃さんのボイスを混ぜに混ぜて水雪童貞イジリミックスを作りたい。

●T24「栖鴉の綿」/T15「久遠の果てに」
作詞:緒乃ワサビ
作編曲:上原一之龍
上原さんの大傑作。制作現場でこの曲に何度も励まされました。
本編のあるシーンでインストバージョンが流れるのですが、自分でスクリプトを組んでおきながら、
そのシーンのあまりの美しさにトイレで号泣したことを今ここで告白します。
本編を最後までプレイしたあと、ぜひフルバージョンを聴いていただきたいです。
ceuiさんの繊細かつ響く歌声に、緒乃さんの歌詞に、上原さんの美麗な編曲に、すべてが染み渡るはず。

●T25「Wish You Were There」
作詞:緒乃ワサビ
作編曲:Xelfery
体験版で衝撃のお披露目となったゼルくんの力作。
ボーカルのMAMIさんとゼルくんで楽曲の訴求力を最大限に表現するため、何度も何度も打ち合わせて調整していたのが印象的。
彼はこれまで編曲がメインの活動だったため、メロディを商業で書くのが初めてという…まじかよ。
完成して初めて聴いたとき、最初から最後まで鳥肌が止まらなかったのを憶えています。


●T26「Never Too Late」
作詞:緒乃ワサビ
作編曲:ラムシーニ
椿姫のED曲。ラムシーニさん入魂のプログレハードボイルドロック。
相良心さんの歌唱がワイルドで最高にかっこよくて、本編をプレイした後に聴くと
椿姫ととある所を訪れる熱い熱いシーンを何度もリフレイン出来るはず。
僕の先輩であり親友でもあるラムシーニさんと、緒乃さんを引き合わせたことが
今作でここまでのケミストリーを起こすとは、嬉しい限りです。
Muu Doggもギターで参加させてもらってます。

●T27「Dear Autumn」
作詞:緒乃ワサビ
作曲:かしこ
編曲:Xelfery
秋奈のED曲。前作ニューリンのED「空の約束」のメンバーが再集結。
Ryunkaさんの歌唱も凄みを増しているし、
ゼルくんとかしこくんの仕組んだハモとコーラスのマジックに是非耳を傾けて欲しいです。
バラードでエレピとオーケストラサウンドがここまで混じりあってるというのは洋楽のミュージカルなんかでは見かけるけど、
邦楽ではあまりないので面白い曲になったなあと思っています。

●T28「You know me, I know you」
作詞:緒乃ワサビ
作編曲:Muu Dogg
水雪のED曲。今作の歌モノで一番明るいのでは?「湯呑、愛の湯」と覚えていただけると。
逢瀬アキラさんは以前から気になっていたボーカリストさんだったので、楽曲との相性もばっちりだったのがすごく嬉しかったです。
ベースに山本寛之さん、キーボードにラムシーニさん、アコギに柳澤奈緒樹さんを迎えて豪華に生音でダイナミクスたっぷりに作らせてもらった楽曲。

緒乃さんの作詞半端ないって。
シナリオ全部書いといて歌モノ5曲の歌詞もちゃんと書ききって、そんなん最高の世界観を生み出せるに決まってるやん。
そんなん出来ひんやん普通。
2ヶ月延期しただけのこだわりめっちゃ随所に感じるもん。
そんなん出来る?


…と、サウンドへのこだわりを書き始めると際限ないですが、
効果音やサントラ単体でこういった形で楽しんでいただけるのも、
ユーザーさんの声援や他のメンバーの個々の努力があってこそだと思っています。

さてさて、未来ラジオと人工鳩発売まで残すところあと5日。
明日のコラムは我々の作品を世に届けてくれる頼もしいミカタ、N川のアニキからのあれこれになるそうです。

そして、この記事を通して僕が最も伝えたかったのは、
椿姫は、29歳喫煙者で巨乳でドSのお姉さんは、マジで最高であるということ。
マジで2次元の女性をここまで好きになったのは、マジで人生で初めてかも知れないということ。
マジで抱き枕自腹で買っちゃうかもしれないということ。
マジで霜降にお金払って椿姫のラフ絵を1枚残らず買い取ろうかと思っているということです。
最後の最後に偏差値が50くらい下がりました。以上です。

Muu Dogg