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開発者コラム

第3回 エロゲデザインの現場 in ニューリン・全体篇【担当:上都河希】

公開日:2017/04/30


こんにちは。上都です。
今回はニューリン(と言うかLaplacian)におけるデザインについて、
自分が少々書きたいと思います。
タイトルはだいぶ前に休刊となりましたが、
雑誌「デザインの現場」より拝借致しました。
隔月誌ということで今となってはデザイン業界の時代の流れ感じ取れる良書なので、
ご興味ある方は是非古本屋でお手にとってみて下さい。

1回で終わらせるつもりだったのですが、
結構いろいろと書けそうだったで全3回予定で考えています。
性分上、ちょっと長ったらしい内容になっていますので、
ご興味持って頂けている方に届いていれば幸いでございます。
長いので毎回目次書いておきます。
気になる項目だけでも目を通して頂ければ嬉しいです。
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1.エロゲのデザインのお仕事
2.デザインですること・伝えたいこと
3.ニューリンのデザインコンセプト
4.メーカーにデザイナーがいること
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本日は以上でお届けします。




1.エロゲのデザインのお仕事
まず、原画やシナリオは何してるかなんとなくわかるけどお前何しとるんじゃいってことで、
前作の『キミトユメミシ』から引き続きになりますが、
美少女ゲーム1作のデザイン業務全般を担当したとことですし
実作業として、どんなものがあるのかざっくり上げてみましょう。
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▼エロゲにあるデザイン
・ロゴデザイン
・ゲーム画面UIデザイン
 (及びシステムデザイン)
・パッケージデザイン
・販促物
 (ビジュアルガイドブック・店舗や屋外での広告物・Laplacian通信・ニコ生素材・イベントブース etc.)
・Webデザイン
 (ベースの制作、更新用のアイコン・バナー・新規ページ etc.)
・グッズ周り
・企画書の制作・ブラッシュアップ
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などなど、大まかにこんな感でしょうか。

ゲームが本体なので、ゲーム内のUIデザインやグラフィック素材周り、
ロゴ、パッケージが商品として必要なデザイン要素になりますが、
Webや広告等の商品を販促をするためにもデザインは必要です。
そしてざっくり分けると紙など印刷物が得意なフレンズと、WebなどUIが得意なフレンズ
そしてロゴなどのグラフィックが得意なフレンズがいるのですが、
フレンズによって得意なことはそれぞれ違うので、
お仕事のちほーによって、フレンズの住み分けがなされている場合が多いと思います。

Lpalcianのゲームに於いて現状では、
印刷物、UI、グラフィック全てを上都が担当している状況です。
(グラフィックについてはイラスト以外に必要になる絵素材のことを指してます)
皆様の目に触れるものとして、ひとつの商品の1分野を全て担うのは
大変ではありますが現状のLaplacianの体制に於いては、
チーム全体を伝えるための方法として意識のブレが少なく、
どちらかと言うと良い方向に向いているのではないかと推測しています。




2.デザインですること・伝えたいこと
ゲーム全般のデザインということで、上記の様な分野を担当しておりますが。
そもそもデザインの役割・目的として、以下の点が満たされば
デザイナーとしての役割が達成されたといっていいと思っています。
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1.まずは目に止めてもらうこと 
(何か書いてある。何かボタンがある等気付いてもらう等)

2.目にした時に、まずこれは何であるか理解してもらうこと
(こういうタイトルが書いてある。ボタンがどういう効果をを起こすかわかってもらう等)

3.見た人が持っている感性的な部分での解釈
(タイトルから、キャラゲーなのかな、シナリオゲーなのかなと想像させたり、
 ボタンだと「はい」「いいえ」の色味などから肯定的・否定的なイメージを想像させたり等)

4.以上の内容が発信者側が思っている・伝えたい内容と齟齬なく理解されること
(今回の場合開発者が作ろうとしているゲームの内容がなんとなく伝わること)
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そしてメーカーの人として考えるならこの前後に仮に0、5があるとすると、
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0.何を誰にどういう風に伝えたいかを決める
(ニューリンというゲームを楽しんでくれそうな人にわくわくするように感じてもらう等)

1〜4があり、0のことを念頭に置き、準備するものに応じてそれにそぐうデザインを行う

5.伝わった時にアクションをしてもらえる条件を準備する
(予約のできるお店を準備する、買うかどうか検討するための値段を決める等)
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メーカーの人間でありデザイナーである自分は
0〜5のことを考えながら、伝えたいものごとを伝えたい人に伝わるよう、
日々シコシコやっているわけです。
満足がいくところまでやりきれているか、はまだなんとも言えませんが。




3.ニューリンのデザインコンセプト
さて、そんなことを思いながらも、本作『ニュートンと林檎の樹』については、
どんなことを考えながら全体雰囲気の構築を図ったのか。

まずはキーワードの拾い上げから行いました。そして出るのは、
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『イギリス』『17世紀』『理系』『タイムトラベル』『SF』
『金髪』『ロリ』『ツインテール』『美少女』etc.
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と言うことで、自分の中ですごくぶつかってしまったのは、
『中世ヨーロッパ』と『理系的タイムトラベル』が持つイメージでした。
かたや、剣と魔法の飛び交うバリバリ王道ファンタジーを想起させ、
かたや、空飛ぶ車がチューブのハイウェイを行き交うような近未来を想像させるワードではあります。

このチグハグなイメージのぶつかり合いはありましたが、
作品の「どの部分を強く印象づけていこうか」と考えた時に、
本作ではタイトルとキャラクタービジュアルの強さにとても救われています。

まずタイトル。『ニュートンと林檎の樹』
これは一般名詞が羅列されているので、どういう情報が連想されるかとてもわかりやすいです。

そして、イメージボートとして使用している林檎の樹の下で佇む金髪ツインテロリっ娘。
アリスイメージボード
もうこの金髪ツインテロリっ娘がニュートンと関係ないわけがないと一発で想像が付きます。
さらに、この子の着ている服は現代的でもなく未来的でもない、ニュートンだしもしかしたら昔の話かも。
この時点でこのゲームでどのような状況があり得るのかなんとなく想像ができてくるのです。

また、各ヒロインに用意されているイメージボードにも役割があり救われています。
春、ラビに関しては彼女たちの性質と時代性を伝えていますが、
特に四五に関しては現代の絵を使っているのでファンタジーだけではなく、
現代も何かしら関係あるのかなとわかる一片として設置されています。
今回、主人公の具体的な立ちイラストがあるのも同じような効果になっているかもしれませんね。

あとはSF的な要素をタイトルロゴから少しでも感じ取れれば…で、ロゴの方もまとめました。

以上踏まえると、タイトルとイメージボードでLaplacianがぼやっと思っていることは伝わると予想していたので、
全体的な見せ方の方向としては、ゲーム中ほぼそこで過ごすであろう『17世紀イギリス感』を強めで問題ないだろうと思いました。
かつ、ファンタジーの印象が強くなりすぎないように、なるべくリアリティの印象を意識して、
SFであることを触れる程度に、現代的・近未来的な配色やチップスが配置さている……はずです……。
一言でまとめると『SFありそうな中世ヨーロッパだよ!(剣と魔法はないよ!)』という感じでしょうか。

今まとめながらWebサイト見てるともっとこうできたあーできたが出てきて切りがないので、
こういうこと意識していろいろ作りましたということで、ここに書いておきます。

こんなこと考えながらデザイナーさんはデザインのお仕事してるんじゃないでしょうか。
あまり同業の友人がいないので、デザイナーとして仕事話に花を咲かせてみたいものです。




4.メーカーにデザイナーがいること
まだ発足1年半足らずのひよっこブランドのLaplacianですが、
上記にも同業の友人がいないと触れましたが、メーカーさん同士でお付き合いさせてもらう時は、
社内で中の人としてのデザイナーを抱えていることがあまり多くない気がします。
印刷、UI、グラフィックといろんなデザイナーが必要な業界ですので、
ブランドとしてディレクターが明確なビジョンと方向性と管理力を示せる場合、
それぞれ得意なところにアウトソーシングすれば、質の高いものがちゃんと出来上がるので
メーカー内部にデザイナーがいなくても成り立つのだと思います。
(専門職という点では、デザイナーに限った話ではないですが)
実際に専業のフレンズさん達を見れば上はキリがないので、
そこまでクオリティアップできたらなぁと日々悶々としています。

そんな中、なんでメーカーの人間としてデザイン業務を全部やってるのかというと、
アイディアの想起からアウトプットするまでにかかる時間が短縮できるところと、
中の人としていることで、見せ方・伝え方についてのコンセプトのブレが少なくなるところが、
Laplacian的には合っているので、現状成り立っているのだと思います。


Laplacianの場合その場でガッと話し合いながら決めて
ガッと実行してしまえるところはしてしまうのですが、
何かを伝えたい時にアウトプットとして見せれる状態にできる人間がその場にいると
スピーディーです。思ったことを直ぐに伝えられます。

実際に、件の【ぜんぶ童貞のせいだ。】広告については、
ぜんぶ童貞のせいだ。
入稿前々日に出稿のお誘いがあり、前日の22時くらいに内容についての話し合いが始まり、
あのワンフレーズが出た瞬間レイアウトを切り、翌朝には入稿済ませたというスケジュール感でした。
時間はありませんでしたが、結果的にあのキャッチコピーのお陰で、
想像以上に反響があり、皆様に知って頂く機会を得ることができたので、とても良い広告出稿になりました。
Laplacianの場合はナマモノのアイディアが多いのでその場ですぐ調理できた方が良いのだと思います。


また、緒乃と自分はそれぞれできることをお互いに補完して進めているので、
制作・開発に関してはなんとなくお互いを気に留めておきながらも、
ここは全部任せといても良いかなって感じで進めます。
ざっくりと言うとゲームの内容については緒乃中心に決めて行きますが、
内容の見える部分、見せ方については主に自分のフィルターが通っている感じでしょうか。

中の人としていることで、お互いどんなものが出てきてどんなものとして出すかを想像しやすいので、
Laplacian的コンセプト軸が大きく乖離することなく、Laplacianの作品が出来上がっていくのだと思います。
日々ぐにゃぐにゃと変化をしながらも、初めから終わりまでLaplacianの作品だったなと、
制作発表から発売、ゲームプレイ後まで、Laplacian自体をイチパッケージとして遊び尽くしてくれたら本望です。

そういえば、企画書の段階から誰に見せても良い資料にしようと全力で作るのですが、
作品のデザイン感についても、この資料でほぼベースのコンセプトは仕上げてしまうようにしています。
伝える相手にとっても内容が想像がしやすくなりますし、自分たちも今後の制作が想像しやすくなるからです。
しかしながらも、企画の内容など進行につれてガンガン変わっていきますので、その度作ります。
進行状況に合わせて流動的に見せ方をいじれるのも、自分にとっては冥利なのかもしれません。


上記にも書きましたがLaplacianはナマモノなんだと思います。
隠れた銘寿司屋みたいにいついいネタが入ってくるかわからないので、こまめにチェック頂けたらうれしいです。
何を仕入れるかはわからないですが、基本的にナマモノにワサビは合うので美味しいと思いますよ。

……ただデザインのことだけで言いますと、絶対的に実務作業を伴う分野ではありますので、
ブランドの規模に合わせて自分一人でやるかやらないかは流動的に変化していくのだと思います。
上都としては血の入った作品がたくさんできればとは思っておりますので。




……。
長くなりましたが以上です。
デザインだけで全3回もやるつもりでしたが最初から飛ばしすぎましたので、
2回以降の分量と投稿は制作の状況と要相談で……。
今のところ【ロゴ・DTP篇】【Web・UI篇】を予定しています。

その他システム周りやイラスト周りの管理も主に行っているので
そのうちまた別のコラムに現れると思います。

ワサビのように柄のないカッターナイフの様な文章は書けませんが、
(再延期しない程度に…)開発状況、裏話等お話できたらなと思います。
またお付き合い頂けましたらうれしいです。


また、本日は11時よりビックサイトで開催されいますCharacter1
Laplacian出展しております。ブースはNo.111です。

今回の新グッズは正に”広告の品”である、
ぜんぶ童貞のせいだ。 再現B2タペストリー(3,000円)
B2タペ
と、電気街祭りで好評だった
『ニュートンと林檎の樹』アクリルでかキーホルダー 第二弾(各800円)
アクリルキーホルダー
です。アクリルキーホルダーは霜降描き下ろしの新デザインですよー。

すぐにはなくならないと思いますが、売り切れ御免ですので、
絶対に欲しい方お早めにLaplacianブースまでお越しくださいませ。


ではまた!




今日のまとめ
・専門的なフレンズも、いろいろやってるフレンズもいる。フレンズによって得意なこと違うから。
・ニューリンのコンセプトはタイトルとイメージボードで9割。
・Laplacianはナマモノ。ワサビがよく合う。
・Character1で僕と握手!

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